最近、番組表をチェックしていると、面白いことに気が付きます。夕方15時、16時にある再放送の『ドクターX』『相棒』『科捜研の女』のシリ-ズ番組名。
そして、同じ日の夜、21時からはまた『相棒』

毎夕のように再放送を繰り返しながら、レギュラーの時間帯でも放送される3作品には、いずれもシリ-ズを重ねています長寿ドラマです。

『相棒』はseason16『科捜研の女』は放送開始から18年も経ちますし、『ドクターX』はなんと第5シーズンまできています。今クールではそんな人気ドラマがやはりそろい踏み。
長寿番組にもかかわらず、全ドラマの中で視聴率トップ3を独占する週もあるなど、衰えない人気ぶりを見せつけています。
ではいったいなぜ、何度も何度も見てしまうのでしょうか。

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非日常にハマる「医療」&「警察」ドラマ

そもそも「医療・警察」をテーマにしたドラマにはヒットが多いと言われています。
刑事ドラマのルーツともいわれる『特別機動捜査隊』(テレビ朝日)に始まり
『太陽にほえろ!』(日本テレビ)や『あぶない刑事』(日本テレビ)、『踊る大捜査線』(フジテレビ)など、名作を挙げればキリがありません。

医療ドラマでは、『白い巨塔』『振り返れば奴がいる』『救命病棟24時』『ナースのお仕事』(すべてフジテレビ)など、人気ドラマは多く、最近では『コウノドリ』(TBS)、
『コード・ブルー』(フジテレビ)も記憶に新しいことでしょう。

コラムニストの今井舞さんはその理由を「どちらも事件が起こりやすく、話が転がりやすい」と分析しています。ヒューマンドラマや恋愛ドラマなど人の生き方そのものを描くドラマには、その世界に入り込めるかどうかで好き嫌いが分かれてしまいがちとなります。

また、日常を描く中でそんなにドラマチックなことは、そうそう起こらないことから、
非現実的な恋愛トラブルが起こるなど、感情移入するのが難しいことがあります。
それに比べて警察や医療ドラマでは、殺人事件、医療事故など日常的に起こる動きを追うだけ

でストーリーが展開しやすい。視聴者も“もしかしたら自分にも起こるかもしれない非日常感”を味わえるので、引き込まれるのではないでしょうかとおしゃっています。

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ドラマといえどもとことんリアルを追求

とはいえ、警察・医療をテーマにしていれば、必ず高視聴率がとれるわけではありません。
3作品が放送開始から年数が経ちシーズンを重ねた今でも、2桁台の視聴率をキープしているのはなぜでしょうか。

『ドクターX』“生みの親”である内山聖子ゼネラルプロデューサーの、「ドラマはフィクションですが、ファンタジーには絶対にしない」という言葉にカギがあるのはないでしょうか。

「リアルな医療にこだわり、病名や術式など実際に存在する症例しか描きません。私や脚本家の先生が “ここで術式を変更して、麻酔科医不在で手術したい”といったストーリー性を重視する要求をするのに対し、医療専門のチームが絵空事にならないように裏づけをしてくれます。世界に数例しか行われていない手術や症例だとしても、現実に存在することが絶対条件です」

『科捜研の女』は一昨年、ドラマで描かれた捜査法が、実際の現場でも導入されたこと等を受けて、京都府警から表彰された。これもリアルを追求したからこそでは。藤崎絵三プロデューサーが言う。「まったくのSFでは意味がないんです。日本では使われていないけど海外では、
取り入れられている手法や、まもなく導入されそうな技術までとことん調べてドラマに描きます。

何人もの専門家のかたに監修していただき、専門機関に取材することもある。 また、セットで使われている機材は本物。科学機器メーカーから借りている電子顕微鏡やDNAを調べる機械など、何百万、何千万円のものが並んでいたりします。

銃の弾道を調べる鑑定のように、現物を用意できない鑑定は、助監督と美術さんが試行錯誤し、本物に近いシーンを実現させている。

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勧善懲悪な「水戸黄門パターン」がイイ

3作品には「1話完結」という共通点もあります。これもまたヒットの大きな理由でしょう。
『視聴率15%を保証します!』(小学館)の著者で、テレビ朝日在籍中に、『土曜ワイド劇場』『暴れん坊将軍』などのヒット作を生み出してきた高橋浩さんの話。

「悪役が出てきて、必ず最後に退治されるという『水戸黄門』的な勧善懲悪な展開は、視聴者をスカッとさせるんでしょう。テレ朝は昔から、トレンディードラマやファミリードラマより、『土曜ワイド劇場』『はぐれ刑事純情派』のような1話完結ドラマを得意としてきました。そうしたドラマも同様の作り方なんです」

オチはわかっているのに最後まで見てしまう、古典落語のような魅力。それはラストに向かうまでに“え?”と思わせる展開があるからでしょう。

「心がけているのは予定調和にならないこと。最後は大門未知子がキメてくれる、とわかっているだけに、そこに至るまでの葛藤や人間関係で“まさか”と思ってもらえるような展開の読めない作りにしています」(内山さん)

『科捜研の女』を手がける東映のチーフプロデューサーの塚田英明さんも、「長く続いているからこそ飽きない工夫をしている」と話す。「リアルを追求するということはもちろんですが、前シーズンからは、“榊マリコの衝撃的なワンカット”というインパクトある映像を盛り込んでいます。

視聴者の皆さんにも大変好評。マリコを演じる沢口靖子さんもとてもノリノリで、“お菓子作りでいうとバニラエッセンスの風味づけのようなもの”と言ってくださっている。そういう予想外のカットがあるからこそ楽しんでいただけるのだと思います」

今後ラストに向かっての展開も含め、またテレビドラマに
釘付けとなってしまう日がきてしまう…。